高知県、講習会レポート>え〜〜っ、あまりにも話題がないというコトで;(笑) 2月7日に行われた『高知県、高校生アーティスト育成事業講習会』の模様を、一部紹介したいと思います。レポートをお送りいただいた担当教諭、祖父江先生に心から感謝いたします。

講師陣のご紹介>進行役=正木秀尚先生 土佐高校出身の漫画家さん。マジンガーZをこよなく愛するロボ好き。上条淳士先生のアシスタントもされていた、窪之内先生のお仲間。
講師=窪之内英策先生 『ツルモク独身寮』、『ショコラ』小学館連載の作者。グレーのニット帽を被った、口ひげの良く似合う、痩身のカッコイイ先生。面白おかしく熱いトークで、会場を魅了しておられました。
講師=山田章博先生 またオシャレして行きました; ダークチェックのハンチング、しぶい茶系統のデザイナーシャツの重ね着、茶と緑のマフラー、よく見ると判る薔薇のすかし柄入りダークグレイのジーンズ、オシャレでオニューな茶のブランドシューズ、(いつ買ったんや;小遣い貯めとったな)私の知らない間に買ったアクセサリー=チョーカー&オーダーメイドの銀の指輪たち。

内容>高知県内から120名近い高校生の皆さんと、引率の美術の先生方が集まり、急遽会場が高知新聞放送会館に変更。朝9時に入場開始、9時30分開催。講演、対談、実技指導が12時まで。休憩を経て、午後1時から5時ごろまで質疑応答と実技指導、講評が行われました。

壇上にはホワイトボード、プロジェクターが設置され、まずホワイトボードに、それぞれの先生方が子供の頃によく描かれた思い出のキャラクターを。
山田先生は『鉄人28号』、窪之内先生の『ドラえもん』には、なぜか歯が生えていました。

プロジェクターに映し出される原稿を見ながら、先生方の講演を聞き、後に課題が提示され、実技講習に入りました。 課題は、この場で『キャラクターを一つ描く』、次に『そのキャラクターの過去と、未来を描き足す』。会場に集まった生徒さんは、それぞれ自作の原稿を持参、机の上に置き、実技講習中に巡回される先生方から、講評やアドバイスを貰っていました。
窪之内先生は、気さくに絵を描いたり、サインをしたり、熱血指導して下さり、そういう事の苦手な山田先生は大助かりでした。お昼の休憩時間に、徹夜で来られた疲れもあって、エネルギー補給にビールを買われた窪之内先生、講演壇上に持参。カンにコピー用紙(白紙)を巻いて、お茶のふりを試みておられましたが、子供達にはバレバレで、後のアンケートに「飲みすぎに注意して下さい」と書かれていました。(笑) 子供達よ、大人は大変なんだよ。許してあげましょう!

山田先生の発言をピックアップ!>「カラー原稿はモノクロの(基本的に)2倍のギャランティーなので、やっぱり食ってゆく為に、必死でカラーを描きました。」カラー原稿が描けると有利、という話し。「雑誌の取材の方が、『仕事場で写真が撮りたい』と仰って、必死で片付けたあげく、イメージに合わないと、別の場所で撮影した」修羅場続きの仕事場なんて、キレイなワケがない、という本音。「まだ漫画を描かいた事がないけど、アシスタントに成りたいとか、漫画家になれるでしょうか?と聞きに来る人が多い」三人の先生方が皆さん仰ってました。

課題の意図>小説の挿絵や、キャラクターデザインの仕事、漫画を描く上でも、一つのキャラクターに過去や未来を創ることは(現時点の)「話しには出てこないけど、キャラクターには生きてきた過去や物語がある。そういうモノがあってこそ、キャラが生きる。小説の挿絵など、こちらが描いたものが、小説家さんのイメージと違う事もある。また、過去や未来像を描くと、それを見て楽しんでくれたり、ストーリーが膨らむ作家さんも居られる」

Q&A>Q.動物を上手く描きたい。 A.観察すること。観察力があると、架空の動物も描きやすい。 Q.お年寄りを描くコツは? A.プロでも爺さん婆さん、描けない人いるって; Q.服のシワがむずかしい。 A.(お三方の意見)鏡の前で研究するもよし、(観察すると)服のシワにもある種のパターンがある。自分の絵としての『良い線』を見つけて、自分なりのデフォルメーションを創りましょう。 Q.何か変わった画材を使ったことはありますか? A.紙を紅茶で染めたことがあります。セピア風が出したかった。 Q.よく使う画材は? A.コピックで、水彩風の絵を描きます。0番でぼかしたり、色を抜いたり、コピックを塗った周囲を水生筆ペンでぼかしたりして描いています。他に、水彩絵の具(ホルベインや桜)、ポスターカラー、インク、ガッシュ、スプレー糊を絵の具に混ぜたりもします。 Q.練習すれば上手く描けますか? A.上手な絵とは何か? その人の個性が出るという事が大事。自分の絵柄を作るという事から始めましょう。その段階において『基礎』はもちろん大事です。基礎と沢山描くことは、当然です。 Q.スランプに陥った時は? A.描いても上手くいかない時、それは下手だからです。(バッサリ)10年描いてから言って下さい。(プロの作家さんが、メチャクチャな方法でテンションを上げて乗り切る例をあげて)皆さんが言っているスランプは、ただ上手く描けなかったり、気分が削げてるだけ。どんどん描きましょう。 Q.模様や飾りに資料はありますか? A.創作しますが、資料は在ったり無かったりします。模様や飾りなど、そんな風な細かい所に、作家の個性が出たりするんだよね。描こうとするその世界のデザインを持つ(創る)ことが大事。(ファンタジーなど、時代や世界の一貫した装飾デザイン。種族別のデザインなど)

他の先生方のアドバイスの方が、皆さんには勉強になっただろうと思うのですが、ここでは紹介出来ないのが残念です; プロの作家さんから、楽をして上手くなるコツを聞き出そうとしても、絵や漫画は肉体の鍛錬なので、コツコツ描くしかない! とか、描いて描いて描きまくれ! とか、漫画の書き文字の重要性、バランスや字体が良くないと、話しがそこで途切れてしまう!とか、絵の空間や背景を描こう!とか、面白いお話しがいっぱいあった様ですが、まずは此れきり。

(文:菜露様 04/05/17)